不思議な庭のアリス(前編)

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今回は、野外撮影の写真を使って、小説風のモノを書いてみます。
ドールブログなので、文章メインじゃないんですが、たまには変化球という事で。
そういうのはちょっと・・・という方は、読み飛ばして下さいね。


・ ・ ・

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「今日から、こちらで静養なさってくださいね。」
遠くで誰かの声がする。聞いたことのない声だ。

鎮静薬のせいで、ぼんやりとした私の頭は、
いま起こっている事を、はっきりと説明することが出来ない。

寝かされているベットは、フカフカとしていて気持ちが良い。
意識を保とうとしていないと、今すぐにでも寝てしまいそうだ。

「それでは、ごゆっくり。」
その人物は、静かに礼をすると、部屋の外へ出て行った。

ドアが閉まるのを見届けると、私は窓の方へ目を動かした。
窓枠の中は、精緻な風景画のような景色が広がっている。

ここは一体、どこなんだろう。
いや、分かったところで、どうにもなりはしない。

私は、全身を覆い尽くすような眠気に身をまかせ、瞼を閉じた。

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「オーナーさん、だよね?」

気付くと、目の前に可愛らしい少女が、ちょこんと座っている。

あぁ、私はこの少女を知っている。
確か、とても身近にいた子だ。

名前は・・・、思い出せない。

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「大丈夫。いつか思い出せるから。」

少女は、私の目を真っ直ぐに見つめながら、ゆっくりと諭すように語りかけた。

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「この庭は、私とあなたの記憶なの。」

なるほど。それじゃあ、この庭を見てまわれば、
私の記憶や、君の名前も思い出せるのかな?

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「その時まで、私のことはアリスと呼んでみたらどうかしら?」

少女は、ニヤリと笑うと、ひらりと地上に降り立ち
古びた石畳の道を、歩き始めた。
私はあわてて、「アリス」の後をついて行く。

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アリスは、この庭を「記憶」と呼んでいたけれど、
その景色は、なかなか気持ちの良い場所だった。

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「こうして、風を感じながら、記憶をたどるが好きなの。」

アリスは、どこか遠い場所を見つめながら言った。

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しばらく歩くと、木の上に猫がいることに気付いた。

ニヤニヤと笑う気味の悪い奴で、その姿はまるで、
不思議の国のアリスに出てくる「チェシャ猫」そっくりだ!

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「ねぇ、今は難しいことを忘れて、お茶の時間にしない?」

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私は、自分の顔よりも大きい、ティーカップを持ち上げようとしたが、
中は空っぽ。カップの底には、枯れた葉や花弁が溜まっている。

アリスは、巨大なティーポットに登り、涼しい顔で座っている。

狂ったお茶会。ここはまさに、その会場だ。
アリスは、私自身に「アリス」のような体験をさせて、
何かを思い出させようとしているのだろうか・・・。

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「どんな場所でも、この庭は光が射している。そう思わない?」

アリスの視線の先には、光に照らされた雑草が生い茂っている。

本来ならば、庭師によって駆逐されるはずの雑草も、
ここでは、キラキラと光って、美しく見える。

私は、アリスと一緒にこの庭を巡って、失われた記憶と、
アリスの本当の名前を、知ろうと決心した。

<後編へ続く>

・ ・ ・

という事で、久々にお話を作ってみました。
蓼科で撮った写真なのですが、ファンタジックな場所だったので
余計な妄想話が浮かんじゃいました・・・;

拙作をお読み下さった下さった方、ありがとうございます。
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 10thリアン

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